勝常地区に於ける農業の現状調査
勝常地区に於ける農業の現状調査
◎当該地区の現状と今後の農業環境の変化
21年度の保全会管理部門として、保全会構成員のデータを基にした、当該地区の農業の現状調査を実施してみました。
参考となるかは別として、この機会に勝常地区の農業の現状と今後の農業を後継者問題も含めた色々な角度から考えてみるのも良いのかと思い紙面に記載してみました。当該地区の現状を把握し、今後の前向きな発展に繋がればと考えます。
◎生産拠点の現状把握
また今回の調査で減反地域を別紙調査地図で色分けしてみたところ、現状実稼働している生産拠点9割は減反が集中している旧川原地区を除いて、米の生産にもっとも適した水分含有量の豊富な粘土壌質の水田で多少の水不足にも安定的に収穫できる米作りには最良の土地で収穫されていることがわかる。当該地区は米作りに限定して言えば、土壌調査の結果に於いても高い評価がされ、収穫された米に至っては、AAA評価と湯川村全体から見ても、優れた生産拠点であることが証明されている。この優れた生産拠点も、今後の動向によっては廃墟と化す危険性もはらんでいることも肝の命じなければならない。
◎農業継続の不安
前に記したように、当該地区の優れたハード面を将来的に安定的に継承していく為に、今真剣にソフト面の充実を図っていく時期にあるのかと考える。上記のグラフは現状の農業従事者の年代別推移を示したものだが、当該地区で最も多いのが兼業農家であるもののその平均年齢は約59歳、また専業農家の平均年齢に至っては約67歳と益々高齢化の一途をたどっている。グラフを見て判るとおりに、全体的に現在の農業従事者の大半は50歳代以降で40歳代以下の従事者は無く、深刻な状況となっている。十年後の状況を考えたとき、今の若者がどれだけ農業に関わってくるのかと不安を覚えずにはいられない。
◎現状農業の損益分岐
現状の農地利用状況について水田のみを対象にみれば農地所有権の関係上、所有者本人かまたは委託耕作か、個人的な対応で水田作付けを行っている古代農業に固着している。水田1反あたりにかかる経費は、人件費・肥料・機械等の経費を含めると、約20万円弱の経費が掛かっているのに、収益はというと1反平均8俵の収穫としてJA売渡価格13500円で計算すると11万円弱となり、1反あたりの収益は△9万円この地区の現状からすると、農業に対しての魅力というものは感じられず土地があるから農業を(特に稲作)しているという単純な状況で米価の低迷に敏速に適応できる様々な出荷物に対応し、先進的かつ
前向きな農業に取り組んでいるものは専業農家以外には考えにくい。
この地区農業の魅力度を増す損益分岐点は、現状農業の経費削減45%以上または1俵の米価24300円以上を達成しないとプラスに転じないことになる。よって、どちらも個人レベルでは農業従事者の年齢等の考慮すれば大変難しい状況にあり、今後は農業従事者の年齢とともに衰退の一途をたどることとなる。しかし、こんなどん底の状態だからこそ、今一度現状と真剣に向き合って、一人一人の理解と協力があれば、負を正に転じるような優れたアイデアが生まれて、大きなチャンスを掴み取る事できるかもしれない。一人一人のハングリー精神が、これからの農業を支える大きな原動力になり今後を大きく左右することとなる。
この調査グラフは勝常区環境保全会構成員登録メンバーを基に集計しています。
◎米作りの損益分岐シュミレーション
左に示したグラフは、勝常地区約80町歩を集団で適正利用した場合、現在の米価に対して、「青が機械経費を除いた収益」「黄色が機械経費を含めた収益」を示したグラフです。
米価を13500円、平均収穫数量8俵、一反あたりの経費を20万と仮定して計算をしてみました。
現状の状態を考えれば、収益を上げる要素は色々と考えることができる。生産基盤的には充実している昨今、ソフト面では、生産経費削減50%を目指した様々な方法。また米の販売価格を引き上げるための方法等、一丸となって取り組めば、できない目標は何一つ無いのも現状である。
現状機械化農業を継続していく上では、米価24300円以上を
確保しなければならず、1反歩で約9万円の赤字、80町歩では
なんと7200万の赤字となる。
現状農家の場合、自身の人件費は考慮していないので、さほど気
にはしていないので、あまり現実的では無いのかもしれないが、
通常の経営状態で無いのは確かであり、後継者問題にも拍車がか
かる原因にもなる。