勝常区環境保全会便り 2012
勝常区環境保全会便り 2012
あの東日本大震災から一年が過ぎ、日常的な様々な様相が一変しました。特に当県においては、原発の影響で日常生活や産業にもかなりの打撃を被り、当該地区の基幹産業である農業も、本年度は田植え時期の遅延や、収穫時の放射能検査など、今まで夢に思わなかった色々な事態が降り掛かってきました。幸いにも本年度当該地区は、放射能等の影響によるコメの出荷制限等はありませんでしたが、原発の終息には至っておらず、予断を許さない状況が今後も数十年続いていきます。
そんな中、新規「農地・水環境保全活動」がスタートしました。当初、勝常区環境保全会では新年度事業への参加をしない予定でしたが、区内の若者からの強い要望もあり、また当該地区に於いて今後の農業に関する様々な問題と向き合って、これからの担い手にある程度の道筋を見い出すべく、これからの五年間を農地・水環境保全活動とタイアップし、また区民各位の協力の下に少しでも将来的な展望が出来ればと考え、再スタート致しました。
勝常区環境保全会活動の主な取り組みは、過去五年間と何ら変わるものではありませんが、前に書いたように、今後の当該地区の農業の取り組みに対する道筋をつけるという意味で、勝常区環境保全会独自の取り組みとして、当該地区農業の集積化に伴う「マスタープラン」を独自に作成し、現状の把握 ・ 分析をし、当該地区のメリット・デメリットを明確にすると共に、今後の農業を中心とした当該地区の運営体制を区民各位との相談や意見交換をしながら、創り上げて行きたいと考えております。
これから当該地区ばかりではなく、日本の農業に於いてもTPP問題を始め、個人農業にとっては、かなり厳しい環境が待ち受けています。また、現状の深刻な問題としては少子化による後継者不足等、個人レベルでは、対応できない問題が山積しています。
勝常区環境保全会マスタープランは、様々な諸問題を個人的な部分・集団的な部分を明確に分類し、農業者も非農業者の隔たりをなくし、区民全体でこの地区の農業を存続していくための、最善の方法を見つけ出していきたいと考えて
います。そう言った意味では本年度から勝常区環境保全会の役員メンバーは、これからの当該地区を背負う人たちで、現実を直視できる人たちです。いろいろな角度から勝常区を見直す良いチャンスと捉えています。
今まで勝常区を支えてこられた方々の様々な意見・反省を踏まえながら、今後勝常区を支えていく人たちがさらに新しい風を吹き込んでくれるものと、大きな期待をするものです。
本年度、スタートがかなり遅れ、各位には多大なご迷惑をいかけしておりますが、お陰様で例年事業に関しては、前年同様に行うことができました。しかしながら肝心の保全会活動においては、計画遅れの部分がかなりあり、深く反省をし、当初の予定に近づけるべく努力をして行きたいと考えております。
※編集後記※
本年度は色々と手続きのの関係上、保全会活動のスタート時期が7月以降にずれ込み実質的にほとんどの事業計画が空振り状態で終わってしまいました。
しかしながら、区民の協力により区の事業との連携は例年通りに実施することができましたが、区の様々な問題は保全会にとっても問題で、 本文中にも書きましたが区民の少子化と高年齢化は、 今後の双方の大きな問題点で、避けては通れない案件です。これから地域を背負う人たちの負担が少しでも軽減されるよう年代問わず、色々と知恵を出しあって試行錯誤をして行かなければならない。 そのためには、各人の前向きで率直な意見交換が必要不可欠だと感じる。
勝常区環境保全会 代表 兼子 光右
勝常区環境保全会の新規「農地・水環境保全活動」取り組み
4月22日開水路泥上げ除草作業
(春の江払い)
7月8日開水路泥上げ除草作業
(夏の江払い)
Bグループ「農地・水向上活動」
農事組合を中心としたBグループでは、本年度も研修旅行を実施しました。今年は女性の方々の参加が多く、道中楽しく過ごすことができました。
仙台のクミアイ化学工業株式会社 小牛田工場で、最新の農薬製
造状況や使用目的など色々な説明を受けた。除草剤や農薬も年々改良が加えられ、周辺環境への配慮が見受けられる。
散布方法に関しても、簡素化が図られ効率よくまた他への飛散や散布者への飛散による影響を配慮しながらの散布が可能になっている。
水田の有機農業といえども、無農薬での水稲栽培は簡単でもなく適剤・適所の農薬散布は最小限必要となる。
自然環境の変化に伴い、または輸入農産物の増加に伴い、外来害虫の影響も懸念される昨今、益々環境に対応した除草剤・害虫駆除剤等々の新規開発が期待される。
帰り道、松島に立ち寄って来ましたが、震災よる地盤の沈下が深刻であることを実感して来ました。
Cグループ「農村環境向上活動」
本年度は、保全会活動の出だし遅れで新規に計画をして活動することができず、また、あじさいクラブの参加者の高齢化に伴い、単独での活動はかなりきつくなるとの要望等を踏まえ、消防団・PTAとの合同作業を実施しました。
子供からじいちゃん・ばあちゃんまで総勢七十名の参加で、あじさいクラブが五年間手塩にかけて育ててきた「あじさい」定植地の保全活動を実施しました。
主な作業内容は、あじさい周辺の除草作業の軽減を目的に、あじさい周りに除草シートを敷き詰めて雑草対策をしました。シーズンになるとあじさいの花が咲き乱れ区民や観光客の目を楽しませています。しかし村南の「あじさい」は道路改修工事のために撤去されてしまい大変残念でなりませんが、 残った「あじさい」を守るべく、今後も色々と試行錯誤をしながらコミュニケーションの場として活動して行きたいと思います。
本年度はあじさいクラブ同様、出だし遅れで個別活動ができず、合同
作業となったが、活動風景は壮観だった。
子供も、大人も、じいちゃん、ばあちゃんもそれぞれが一生懸命で、地区
の中でもコミュニケーション不足が叫ばれる中、年に一度かも知れない
が、保全会活動を通して普段できないことを、 体験することは年代を
問わず貴重な経験だと感じる。子どもたちにとっても、 ほんの小さな
体験かもしれないが、やがて人として心の中にあじさい以上の大輪の花
を咲かせてくれるかもしれない。
勝常区環境保全会グループ
1.Aグループ「勝常区」
2.Bグループ「勝常農事組合」
3.Cグループ
「あじさいクラブ・消防・PTA」
4.Dグループ「管理運営」
子どもたちにとっては、初めての体験なのに大人と一緒に見
よう見まねで一所懸命に除草シート貼りの体験をしていました。
あじさいクラブが定植した「あじさいの花」保全活動を、 子ど
もたちに経験させることで、 じいちゃん・ばあちゃんの苦労や
花を愛する心を少しでも解ってもらえると、うれしいです。
今年、このような合同作業を実施してみて感じことは、 あじさ
い周りの細かな除草作業はやっぱり、あじさいクラブの老人パ
ワーが威力を発揮し、 草集めや剪定したあじさいの搬出は若い
人たちがと、今後の様々な活動においての作業の効率や分担を
明確にして行かなければならないことを痛感した作業だった。
次年度以降、 今年の反省をもとにそれぞれに適した作業配分で、 コミュニケーションを図りながら進めて行きたいと思う。
放射能の影響で野外や河川での活動が制限されるために、 活動範囲は限られるが、 保全会として子供たちの思い出になるような活動を考えていきたい。
Dグループ「環境保全会管理部門」
震災から早二年が経過し、 多少の落ち着きは取り戻したものの、 まだまだ予断を許さない状況が続いています。
本年度は村内の公共施設を中心に子どもたちの安全を最優先に除染が行われ、 一時線量が下がったかのような錯覚を覚えて
いますが、 実際のところ放射線量の相対的な数値は、 様々な要因が絡んでさほど変化していません。
特に気を付けなければいけないのは、 自然対流の影響を受けにくい場所。
例えば、常に流れのない川、 ほとんど手を付けない荒地など、 まだまだ放射線量の多い危険な場所は、 村内のあちらこちらにあるはずです。常に大人が目を配って、 常日頃人が近づかないような場所には、 特に子どもたちを立ち入らせないよう
な気遣いをすべきです。
幸いにも、 村やJAの素早い対応によって二十四年度のコメにはセシウム等の放射性物質も基準値を下回りホッと胸をなでおろしていますが、 原発は今も放射能を放出していることを、 肝に命じて油断しないことが必要です。
昨年、 個人的には反対でしたが除染土壌の仮置き場が、 勝常区民の総意のもとに設置されました。
今、 風評被害やコメ問題で大変なときに何で仮置き場なんだと、 とても憤慨しました。
でも、考え方を変えれば他の集落では、ほとんど計測しない放射線量やセシウム検査が、 仮置き場があるために勝常地区では優先的に計測してもらえるというメリットもあります。
そう言った意味では、 他の集落より安心を手に入れたような気がしないでもない。 独り言か?
まだまだ続く原発との戦いの中で、 勝常区環境保全会では、 日々の環境放射能の計測を一昨年5月から毎日行いデータをホームページに掲載しています。
計測開始から現在まで、 日常生活に支障の出るようなレベルではありませんので、 保全会便りでも特に掲載はしませんでしたが、 興味のある方は「勝常区環境保全会」ホームページを覗いてみてください。
勝常区環境保全会で検索すれば見られます。
震災や原発問題が尾を引く中、 勝常区環境保全会も新たな五年間の船出をしました。
今年一年の活動を振り返ってみると、過去五年間の活動で参加人員はそれぞれ単純に五歳年を取っている。
これからの五年間、 中堅層が不足している保全会活動でどのように対処していくべきなのか? 頭を悩ませる。 高齢化の波は当該地区の様々な活動の中で、色々と問題視され、 今や部落の若者が五十代後半?
ちっとも若くない地区に変わりつつある。
保全会発足当時、 農業従事者の平均年齢六十八歳、現在の平均年齢七十二歳、 区の例年活動に於いても年々体力的にも限界に近づきつつあるし、 危険度も増してくる。 各家庭においての後継者不足は、 地区の後継者不足に直結してくる。
でも、 立ち止まることは許されず前に進まなければならない。 地区としての老若男女問わず考える時期に来ているのかもしれない。 先輩の歩んできた足跡を無にせず、 新たな風を吹き込んでいきたいと思う。
軍手をして、準備万端・・ いざ出陣!
*子供たちの夏休み活動の一環*
夏休みを利用して自然とのふれあい体験を実施
手作り池に放された魚を、びしょびしょになりな
がら追いかけて、捕まえた魚と満面の笑顔で記念
撮影をしてました。楽しそう!
勝常寺東側の農道の裏面のあじさい保全活動除草や剪定と大忙し
勝常区環境保全会「備品購入」のお知らせ!
保全会では、本年度のの江払い実施時の人員減少や参加者の高年齢化等を考慮し、今後の開水路法面の除草作業等、活動の円滑化と効率化を図るべく、モアを購入しました。
購入時期の関係で、本年度は使用出来ませんでしたが、 次年度以降、Aグループ 「勝常区」 の開水路保全活動 (春の江払い) から、保全会役員中心に人選を行い、区役員と調整しながら、現場投入したいと考えております。
投入時、どのような結果になるかわかりませんが、試行錯誤しながら、効率的に運用できるよう取り組んでいきたいと思いますので、ご理解、 ご協力を宜しくお願い致します。
◎24度保全会の主な活動
「Aグループ「基礎部分」
「基礎部分」の活動としては、例年通り区の事業に沿って活動を
継承する形で実施しました。勝常区ばかりの問題ではありませ
んが、参加者の高年齢化に伴い開水路の場所によっては、かなり
作業のつらいところがあり、今後の作業組分けも考えなければ
ならない時期に来ているのかと感じました。